mbed/ARMのように、簡単に組込みシステムを構築できる環境が増えてきました。これは環境の裏にしっかりした組込みプラットフォームが構築され、関数呼び出しで、これらを利用できる仕組みが構築されているからです。中規模の組込みシステムを上手に設計するためには、RTOSを核として対象の組込みシステムに特化したプラットフォームを構築していく必要があります。また、プラットフォームの実装技術は、LINUXや汎用組込みプラットフォームを利用してシステム構築をする場合でも、OSの改変やメンテナンス、不具合解析などで、必ず必要とされます。
TOPPERSプロジェクトでは、これまで基礎1、基礎2のセミナーを開催してきました。基礎1セミナーでは、ワンチップマイコンを対象にRTOSを使用しない組込みシステム開発を対象とし、基礎2セミナーでは、RTOSを使用した小規模な組込みシステムを対象としました。今回開催する基礎3セミナーでは、ファイルシステムやETHERNETの構築実習を通して、自分で組込みプラットフォームを構築できる技術者の育成を目指します。具体的には、サンプルアプリケーションとして「TELNETを用いた仮想端末機器」を構築し、このアプリケーションのための組込みプラットフォームの構築を行います。プラットフォーム用のミドルウェアとして、SDカードを用いたファイルシステムミドルウェアやTCP/IPプロトコルスタックのポーティング実習を行います。
一歩先を行くエンジニアとして、組込みプラットフォーム開発技術を身につけませんか。
基礎3セミナーでは、ARM4ボードを用いて「TELNETを用いた仮想端末機器」を作成するための組込みプラットフォームの構築実習を行います。ミドルウェアは以下の3つを使用します。
これらのミドルウェアはTOPPERS/JSP上の実装となりますが、同一環境をTOPPERS/ASP上で実装するためのソフトウェア部品を用意し2つのRTOS環境の比較が行えます。また、仮想端末アプリはUNIXライクなSHELL機能を実現し、標準入出力等の拡張実習を行います。開発環境は、Cygwin+GNUARMを用います。ボードはLPC2388ボードを使用しSDカードのアクセスやETHERNETを使用してパソコン上のTreaTermとコマンドレベルの通信を行います。セミナーでは、サンプル実装をベースにいろいろなデバッグ実習を行います。
TOPPERSプロジェクト教育WGでは、名古屋大学組込みソフトウェア技術者人材養成プログラム(NEXCESS)の教材をベースとし、組込みシステムでRTOSをベースに上手にシステム設計を行うための組込み教育セミナーを開催してきました。基礎1コースではハードウェア、組込みソフトウェア、開発環境を取り上げ、基礎2コースでは、最新RTOS:TOPPERS/ASPカーネルを教材としてRTOSの実習を行ました。(コンテンツはWeb上で公開中)
本セミナーは、C言語でプログラミングができる人を対象としていますが、より理解するには、基礎1、2セミナーコンテンツを一読してセミナーに参加してください。
本セミナーは2日間で、以下のスケジュールを想定しています。
プラットフォーム構築 | 40分 |
開発環境のセットアップ | 1時間20分 |
RTCのデバドラの説明とデバッグ | 1時間 |
MCI/FAT/POSIXファイルシステム | 1時間 |
SDファイルシステムの確認 | 1時間30分 |
まとめ | 30分 |
ITRON-TCP/IP仕様 | 1時間 |
TINETデバイスドライバの設計 | 30分 |
DHCP+ECHOサーバの実装確認 | 2時間30分 |
プラットフォーム作成 | 30分 |
仮想端末アプリの構築 | 30分 |
仮想端末アプリの拡張 | 1時間30分 |
まとめ | 30分 |
※最新版の教材を、こちらで公開しています。
基礎3実装セミナーの教材はこちらでダウンロードできます。
基礎3実装セミナー | ||||||||||
2012年12月1日(土)、8日(土)の2日間、東京 代々木の株式会社サートプロ研修室にて開催しました。参加人数が少なかったため、参加者一人一人に細かな対応をすることができ、成果があがりました。参加者のPCを持ち込んでの実習は、環境による影響を大きく受けるため、今後は同じ条件のPCを貸し出して実施したほうが良いようです。 基礎3実装セミナーの講師は以下のとおりです。
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